午後9時からテレビでやってたのをたまたま見ました。
正月に初めて見たのでこれが二回目になります。
私がこの作品に感じた面白さをまとめると、こんな感じです。
- テンポがいい
- 複数の話の発散→収束の過程が秀逸
- ストーリーの軽さ+ある種のパターン性
テンポがいい
とにかく、テンポがいいですよね。
「動」と「静」が気持ちよく切り替わって、観客を飽きさせない。
例えばパーティーのシーン。
別の事件の被疑者が目の前にいるのに手が出せない青島刑事とすみれさん、すぐそばの犯人を確保命令が出ずじっと見ながら待機、張り詰める緊張感(静)
↓
突然爆発音
↓
実はパーティーゲームで大当たりが出たからだったのだが、その隙に犯人は逃走、すぐさま追いかける青島刑事とすみれさん(動)
とまあ一例だけ挙げましたが、このような例は枚挙に暇がありません。
複数の話の発散→収束の過程が秀逸
踊る大捜査線では完全にパターン化した「複数シナリオ同時並行」。
今回は以下の4つの事件のシナリオが同時並行で進みました。
- 会社役員連続殺人(メイン)
- アットホームな一家のスリグループ
- 吸血鬼(婦女暴行?)
- 署長の不倫相手の捜索
また、これに加えて「組織論」をテーマにしたストーリーも展開します。
これだけのストーリーを同時に進めて、あれだけわかりやすくまとめられるのはすごいです。
どれも結構印象に残りやすい変な事件だし、ストーリー上ではそれぞれの事件は独立している*1という点もわかりやすくしていたのでしょうが、それにしてもうまくまとめたなあと思います。
サブの事件はメインシナリオの引き立て役という形で使っている感じがします。実際岡村出演の吸血鬼事件や署長不倫事件は存在しなくても話が成り立ちます。しかし、サブの事件の部分をまるまるカットすることを想像すると、結構話が単調になる気がします。
最初に挙げたテンポの良さもこのサブの事件をうまく使って実現してるんですね。
ストーリーの軽さ+ある種のパターン性
刑事もので犯罪者に屈するだけの作品なんて聞いたことがありません。
刑事ものは、常に「正義=刑事」が勝つんです。
ワンパターンですよね。
このワンパターンさも魅力の一つですね。
id:hazama-hazamaさんも言及していますが、時代劇や戦隊ものに代表されるようにパターンものというのは面白いんです*2。この踊る大捜査線2も、事件の題材こそ今までの刑事ものとは一風変わってはいるものの、「事件→捜査→逮捕」という流れは変わっていません。実にワンパターンです。
ワンパターンって、「自分の期待にほぼ必ず応えてくれる」という点で非常に優れているんですよね。
人間誰しも、期待通りというものに快感を覚えます。
(その逆もあります。人間は全く期待と違ったものであることに不快感を感じます*3。)
さらに、「刑事」「殺人」「拳銃」など、どうしても話が重苦しくなりそうなキーワードがちりばめられているのに、ストーリーは全体的に軽いです。
もちろんシリアスな場面もありますが、それでもなおストーリーは全体的にライトな印象を与えます。
ここら辺が従来の刑事ものと違う点ですよね。
その他
あとお台場という実際にある場所が舞台設定なのもいいですよね。
行ったことのある人にとっては、「あーあそこだ」とか、「あの場所行ったよねー」みたいに親近感がわきます。
それとストーリーのテーマ。
「リストラ」「組織論」など、当時の社会が抱えていた、すなわちみなの関心のある問題をぶつけてきた点もインパクトを強めているといえるでしょう。
ある種マンガ的なこの映画で痴情のもつれとかの重い話を描かれても違和感を感じることでしょう。
じゃあ組織論の話とかは軽くないんかい、と思われるかもしれませんが、そもそも踊る大捜査線全体のテーマの一つに「所轄と本店」というものがありますからそれの延長ということを考えれば問題ないと思います。
まとめ
結局、踊る大捜査線2(ひいては他のシリーズ作品全て)の面白さを表すとこんな感じになります。
「従来の刑事ものというパターン化したストーリーをベースにして、演出やシナリオなどで誰もが見やすいように工夫を施している。その工夫とは、
- テンポの良さ
- 事件、舞台などをその当時の流行に乗せて、わかりやすくする
などである。」
てな感じに書いてみました。
まあぶっちゃけこんなだらだら書かなくても「面白い」と一言言えばいいんですけどね。
ちなみに、前回私が書いた感想がこちらにあります。
(・∀・)シウマチ!!地獄車 - 踊る大捜査線
蛇足。「県庁の星」
織田裕二の次回作です。
今度は一転エリート側に回ります。
多分地方上級ですね。
公と民の関係を描く、ってなんだか踊る大捜査線と似てますけど、ちょっと期待ですね。
(果たしてご。氏はこれを観てどう思うのでしょうか……)