前例主義万歳

〜ある日、オフィスにて〜

「君! なんでこんなやり方をしているのかね?」

「ああ、主任。これは、こういうやり方の方が効率がいいかな、と思って考案しました。どうですか?」

「君ねえ、これじゃだめだよ!」

「え? なんでですか?」

「実績がないじゃないか! 前例のないことなんて、リスクが高すぎて普通はやらないんだよ!」

「おお、なるほど」

「全く、いつまでも新人気分でいられたら困るよ!」

「いや、確かにおっしゃるとおりです。気をつけます」


〜数日後〜

「君! なんだねこのやり方は!」

「ああ、それは僕が新しく導入しました」

「何日か前にも言ったばかりじゃないか! 私があれほど…」

「いやあ、それが社内のファイルサーバを調べてみたところ、過去に使っていたらしいんですよ」

「何? そうなのか?」

「それに、ほら、このブログとかにもこの方法がいい、って書いてあるんですよ。この人も大手の同業の企業に勤めているみたいですし」

「なるほど…そうか、こんなやり方があったとは知らなかったな。よく見つけたな!」

「ありがとうございます! やっぱ前例のないことはダメですよねえ!」

教訓

前例がなかったらこっそりと作ればいい。

後書き

この話はフィクションであり、実際の人物その他とは一切関係ありません。マジで。