- 作者: 逢沢明
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/01/16
- メディア: 新書
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あまりに狙い過ぎなタイトルなので3分で立ち読みして済まそうと思ったのですが、
内容が意外に面白いのでつい購入してしまいました。
まず、発想法というタイトルをつけるからにはいかにも
「こうすれば楽してアイデア出せますよー」
みたいな内容なんだろうな、という先入観に対し、
「地道な努力なしにアイデアなんぞ出るかボケ」
とばかりに根性論ぶち上げて読者の期待をきれいに砕いてくれるあたりが
好感持てましたね。
もう一つ好感持てたのは、筆者は過去の方法論をいくつか批評の対象に
挙げたりもしていますが、良い点と悪い点を非常にバランス良く書いてる
ところですね。
筆者は京大情報学研究科の准教授なので、KJ法について比較的多めにページを
割いていますが、それはKJ法の方法ではなくKJ法の長所短所等について
議論を進めているわけです。これは割と面白い。
他にも、ブレストからマインドマップまで、一通りの発想法を取り上げて
色々と論じているので、なかなかに面白かったですよ。
また、更に気に入った部分として、言霊を取り上げているくだりがありますね。
わが国では、言葉には言霊が宿る、と昔からいわれてきました。言葉のもつ力のようなものです。
…言葉のもつ力は、アイデアを発想する際の連想において、欠くことができないものです。
(p.165)
その他にも、欠点列挙法なども興味深かった内容の一つですね。
また、「否定」という方法も非常に重要だと考えています。「欠点列挙法」という発想法では、現在の製品の欠点を徹底的に列挙します。
(p.173)
筆者は否定することが発想力強化の重要な方法になることを指摘し、さらに否定の精神を理解しない人が多いことに注意しろとまでアドバイスしてくれます。
一度発散思考に傾いた集団で否定を連発するのは確かに難しいのですが、必要なことなんですよねえ。
まあ名著ではないかもしれませんが、悪くない本だと思いますので、少なくとも書店でふと手にとってみる程度の価値はあるかと思います。
個人的には、前提条件として一通りの発想法を知っておく必要はあるかと思うんですけどね。