- 作者: ジョンマエダ,John Maeda,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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昨年から id:pho が熱心に原著を読んでいるのを見ていたので、
いつか読もうと思っていた本です。
4月に訳本が出たので購入しました。
内容はすごく「シンプル」。
シンプリシティ、すなわち単純さを獲得するために注意すべき事柄を挙げ、
それを法則として一つ一つ解説していくという話です。
10の法則を一つ一つ挙げるのもナンセンスなので、お気に入りの法則を2つ紹介しましょう。
法則4:学習
知識はすべてをシンプルにする。
(シンプリシティの法則、P33)
ねじの例を挙げ、ねじは一見シンプルだが、それはねじの回し方を知っているからであって、
ねじの回し方の知識がなければシンプルでない、というところから始まります。
まさに知識がシンプルさを作る一例なのですが、問題はその知識をどうやって習得するかということ。
時間がかかるようではシンプリシティが損なわれます(法則3)。
ではどうするか、というのがこの法則4の章の主題です。
いくつか紹介しましょう。
学習の質が最も高いのは、特定の知識を得たいという願望があるときだ。
(シンプリシティの法則、p34)
これはブログを書くために調べものをしているときに感じたことがありますね。
大あくびをしながら学校の授業を眠たげに聴いていたときと全く異なる、頭の回転を
感じとることができました。
自発的に勉強することは、非常に効率がいいんですよね。
基本ははじまりである
同じことを何度も繰り返し言う
やけを起こさせないようにする
例を使ってインスピレーションを与える
繰り返し言うことを決して忘れない
(シンプリシティの法則、p35)
この方法で話を組み立てると、確かに意図は伝わりやすいようです。
この間早速プレゼンのストーリー作りに使わせていただきました。
使えそうな知識はどんどん試します。
法則8:信頼
こうしたメニュー選びのストレスを避ける道が、質のいい寿司屋にある。
そうした店で「おまかせ」を頼めばいい。
(シンプリシティの法則、p76)
筆者ジョン・マエダは日系人であり、かつ日本にも住んでいた経験があります。
それだからか、この本にはやたらと寿司屋が出てきます。
この後「おまかせ」について(シンプルなこの本にしては)延々と説明が入ります。
ジョン・マエダが次に書くべき本は寿司語りの本だと、このとき思いました。
西洋料理でおまかせに相当するのは、「シェフのおすすめ」である。
……とはいえ、シェフのおすすめとおまかせのあいだには決定的な違いがいくつかある。
……おまかせの場合、客は寿司名人の目と鼻の先に座っている。それゆえ、
客の味覚芽を満足させようとする名人の闘いは、生きるか死ぬかという様相を
帯びているのだ。
……だが……彼は100パーセントこう確信しているのだ。
自分の熟練の技と知識にすべてを委ねようという気があれば、客の望むものを
出してやれると。
(シンプリシティの法則、p77-78)
……ほんと、ここまで熱く寿司職人を語れる人は日本国人でもそうはいません。
まあ本題に戻りますが、このように相手(人でもものでも)に全面の信頼を置けば、
非常にシンプルな操作(例えば「おまかせ」)で満足させることができる、という話です。
まとめ
微妙にネタに走ってしまいましたが、筆者は非常に良く日本文化を理解しているようで、
シンプリシティの話の例として日本由来の様々なものを紹介しています。
(空手、自然信仰、漢字の意味etc...)
あまりにシンプルなので、1500円を高いと思うかもしれませんが、
シンプルですっと入ってくる内容だからこそこの値段がついているともいえます。
身の回りの「複雑さ」に頭を悩ませてる人は一度手にとって読んでみると
いいかもしれません。