翻訳教室(1)

翻訳教室

翻訳教室

(1)、とは書いたものの続くかどうかは不明。
翻訳の勉強を真面目にしたことがなかったのでちょっと手を出してみました。
どういう本かと言いますと、日本で大学受験したことのある人には「実況中継」の本だと説明すればわかりやすいかと思います。
9編の短い文章が翻訳の課題として出され、授業の中で提出された学生の訳を元に添削・議論していくという内容です。

故郷 スチュアート・ダイベック

ライセンス上アレなので私の訳は非公開。
技術翻訳とはまた違ったスキルが要求されるため結構難しいです。
以下読んでて気になったところのメモ。

  • (タイトルの訳について)カタカナで済ませてしまうのには抵抗があります。……ちゃんと訳せばその分情報は増える。
  • 要するに、中心的な情報がまず出てきて、それから細部が出てくるわけだ。英語の語順はこれが基本です。ところがこれを日本語に訳すと、日本語では同士が最後に来るのでどうしても細部が先に出てしまい、全体像が最後に回ってしまいがちなので、工夫がいります。
  • とにかく……情景が自然に浮かんでくることがポイントであって、浮かんでくるんだったら「君」「あなた」なしでもいいんですよ。
  • 「玉ねぎ文」:「彼は私がバカだと言った」、「主語1、主語2、述語2、述語1」
  • 主語と述語がそんなに離れてない方がいいという大原則があるわけです。
  • 倒置というのは、どうしても何か、格好をつけた感じがしてしまう。
  • 興味のない分野の訳は、誰かに見てもらった方がいい。
  • 英語はわりとセンテンスからセンテンスへと移る際に主語が動いてもいいんですよね。ひとつのセンテンスの中でも主語がほいほい動く。でも日本語は、あんまり主語がしょっちゅう入れ替わらない方がいい
  • 翻訳において、語順についての大原則は、なるべく原文の語順どおり訳すということです。
  • 変わった原文には変わった訳文で、という大原則です。
  • (訳の案として)ボールを先に出せばいいというのは、さっき言った原文の語順になるべく合わせるという原則と矛盾してるんだけど、翻訳とはそういうもので、その場その場で役に立つやり方があり、原則同士は必ずしも両立しない。一貫性を持たせようとしても無駄です。
  • 英語は同じ意味でも反復を避けて別の言葉で言い換えたがる言語
  • 聖書は事実に勝つ。(聖書的な表現が出てきたら事実はどうあれ原則聖書的に訳すということ)