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翻訳教室(3)

ある日常的力学 レイモンド・カーヴァー

  • 二つの形容詞の順番がそんなに問題にならず、入れ替えた方が視覚的にイメージがまとまりやすくなるなら、そうする方がいい。
  • "it was getting dark"のような進行形は、日本語ではわりと「〜してきた」と言うことが多い。
  • (前回の追記)andって「しかし」と訳すといいことがけっこう多いんだよ。
  • whenでつながるときはだいたい物事が同時に起きるときで、同時に起きても、前に書いてあることの方が英語で先に提示されているからには、そっちを先に出して悪いことはない。
  • sheという言葉と「彼女は」という言葉では重さが違う。sheの方が軽い。sheを五回繰り返すのに対して「彼女は」は三回くらいで、ちょうど重さ的に同じくらいかな。
  • 「彼は彼女を見て」…とかはやっぱりやらない方がいい。とにかく日本語として綺麗じゃない。
  • 英語でSon of a bitch!って言うのは女の人の怒りの表現としてはまあ自然な汚さ
  • 日本語は罵倒語のバラエティーが貧しいから…文脈の中に入ってその女性の身になって、自分だったらこの男をどう罵倒するかを考える方がいい。
  • 翻訳では代名詞は原則として抜く、しょうがないときだけ彼とか彼女とかを入れるくらいに思った方がいい、と前にも言いましたけど、会話の中では特にそう
  • 翻訳の入門書なんかを読むと、過去形が…続くと日本語として美しくないから、適宜現在形を挟みましょうみたいなことが書いてあったりする。でも機械的にそうするのは小説を読むってことを無視しているとしか言いようがなくて、現在形を挟むのがふさわしい文章とふさわしくない文章があるんだよね。
  • Are you crazy? は「あなた気が狂ってるの?」よりずっと弱い。
    • (私は「あんたバカ?」と訳してみた。別に好きでもなんでもないけど一度は使ってみたかったフレーズその2。他人に見せない翻訳は好き勝手できるから楽しい)
  • hurtは「痛い」あるいは「痛くさせる」っていうこと。…たとえば注射のときに「痛い?」はDoes it hurt? と言う。
  • 相手に対して利益、不利益になることを言う表現は日本語の方が豊かなんです。
  • stoveは現代英語では「ストーブ」ではない。まあ普通「コンロ」とか「レンジ」です。
  • とにかく英語の場合には、日本語より視点をはるかに意識する。誰の目からこれが書かれているのかをつねに考える必要がありますね。

○○語の方が表現が豊富、という感覚はコンピュータ言語にも、あるいは何かを伝達・表現するための全ての手段(絵でも音楽でも、あるいは数学でも)あてはまるのかもしれません。
何かを表現するのに、一つの手段の表現技法だけを追求するのもいいし、あるいはたくさんの手段を身につけて伝達に最も適したものを選ぶのでもいいですね。