ソニーコンピュータサイエンス研究所「三人の研究者」展

http://imposs.ible.jp/events/20100226/

id:daisukebe に教えられて、面白そうだったので行ってきました。

それほど大きくはない会場の中に、ユニークな展示が4、5個並んでいたのですが、どれも非常に面白い作品で、見ていて楽しい気分になりました。展示物の製作者が直接説明や質問対応してくれたので、技術的な話なども色々と聞くことができました。

Sound Bugs

インタフェースとして、簡易タッチパネルディスプレイ(人の静電気を感知できる白いボードに、プロジェクタで映像を投影したもの)と、集音マイクがありました。マイクに向かって音を発すると、目と糸の体を持つ虫が生まれ、動き回り始めます。

この虫、大きさは音の大きさ、体の長さは音の長さ、体の形は音の波形で決まるという、とても変わった虫です。何よりユニークなのは、その体をなぞると、その虫が持つ音を再生するという点です。音楽から生まれた虫を撫でると音楽を再生し、人の声から生まれた虫はその声で鳴くのです。尻尾から頭になでると逆再生したりします。

さらにこの虫たち、二匹が衝突すると子供を生みます。この子供の虫たちは親の音情報をかけ合わせた、現実にはなかった音を持っています。虫たちは一定時間が経過すると死んでいくのですが、こうして子供が生まれることでディスプレイの上では音の虫であふれていきます。

作者のAlexis Andreさんは「iPhoneのアプリの上で動かして、たまごっちのような個人個人の持つペットみたいにしてみたい」というようなことも語っていました。

2D,3D

インタフェースとしてPCのディスプレイがあり、その横に2帖ほどのサイズでロボットが動き回るステージ(といっても床に白いボードを置いただけ)がありました。ステージの上には半球にタイヤをつけただけの小型ロボットが置いてあります。

ディスプレイにはジェットコースターのコースのようなものとボールが用意されています。コースはマウスでドラッグすることで形状を変化させることができ、その上にボールを置くと転がり始めます。このボールが動き始めると、現実世界のステージに置かれたロボットが動きを追随していきます。

残念ながらロボットはステージに貼られたテープなどにひっかかるなどしてディスプレイ上の動きを完全に再現することはできませんでしたが、それでも確かに仮想空間の動きをトレースしようとしていました。


Communication Toilet


トイレの断面が、演劇の舞台のように設置されていました。トイレのドアの外側が簡易タッチパネル状(詳細は聞いていない)になっています。

中からドアの外に向かって、「後xx分」などのメッセージを発信することができます。一方外の人も、中の人に大して様々なアクションをとることができます。このアクションはノック回数を利用した選択式になっています。ノック一回だと「もう少しゆっくりしてても大丈夫ですよ」といった風に。

面白いのが、お互いが相手を「攻撃」できるというところです。外の人は、いつまで経っても出てこない中の人に対し、「怖い音を鳴らす」などの攻撃を仕掛けることができます。一方中の人は、「ドアの外に向かって、トイレの中の臭いを放出する」という反撃もできます。(絶対くらいたくないですこんな攻撃)

一見ウケ狙いのようなこの展示ですが、現実にこのようなコミュニケーションツールがあったらかなり便利なのではないかと思いました。トイレ以外でも、現実世界において「見ず知らずだけど今コミュニケーションとりたい、かといって声をかけるというのもちょっと……」という場面は多々あります。電車の中などもその一つでしょう。そういった場面で、もう少しだけ気軽にコミュニケーションをとることができるツールがあれば、かなり多くの人がハッピーになれるのではないでしょうか。

まとめ

どの作品も、製作者の方がすごく楽しんで作ってるということが伝わってきて、とても楽しい一時を過ごすことができました。
楽しさって本当に大事です。