GPLが無効になるとき

id:phoRMSの本を読んでくれて、素晴らしい感想まで書いてくれた。

さすがid:pho、オレ達にできないことを平気で(ry


で、記事中に書いてあったこの一文。

ふと疑問に思ったが、コピーレフトって何年存続するんだろう。コピーライトと一緒かな。

死後50年経ったら、パブリックドメインになって商用利用できるのかな。どこにも触れてないから気になった。

気になったので調べてみました。

本当はGPLの原文から該当部分をピンポイントで引っ張ってきたかったのですが、この件そのものをズバリ書いてある箇所を抜き出せなかったので、分かりやすく説明している記述を引用します。

利用権を共有するための仕組みとして、著作権を放棄するのではなく、ライセンス(利用許諾)の形で共有と共同的な創造活動を保護する方法を採る。すなわち、「著作権は私が有していて複製・改変・配布(販売)には私の許可がいるのだが、ソフトウェアを共有して発展させるという意図に反しないならば、いつでも誰に対しても利用を許可する」という形態を採る。

コピーレフト - Wikipedia

GPL(General Public License)ライセンスでは、「GPLに書いてある条件を満たすのであれば、著作権の権利を行使しない」という契約になる。

@IT:ソフトウェア特許の保護期間20年は長過ぎ?

つまり、id:phoの記事で名無し氏がコメントしているように、コピーレフトの存続期間=著作権の保護期間と考えてよさそうです。

GPL等では期間についての明確な記載がないのでもしかしたら無期限なのかもしれませんが、現在のライセンス条項を見る限り、著作権が切れたら実質無効となるでしょう。


じゃあ作者が死んで50(乃至70)年経ったらソース非公開バイナリを配布・販売していいのか、というと、多分そんな単純にはいかないでしょうね。


私の全くの偏見なので見当違いかもしれませんが、私には

「たった一人の書いたソースだけから成り立っていて、しかも作者の死後何十年も経った後でも企業がそのソースを元にビジネスをやろうと考えるくらいの資産価値があるフリーソフトウェアオープンソースソフトウェア」

なんてものがこの世に存在するとは思えないのですよね。*1

価値あるフリーソフトウェアGPLでライセンスされたOSSには多くの開発者がいて、今なおGPLでパッチを送り続けているわけです。

新しい、若い開発者が登場し、コードを書き続ければ、朽木が土に還るかのごとく、死後50年経った作者のコードは新たなより洗練されたコードに取って変わられているでしょう。

仮に50年経ってもなお生き残り、文字通り「枯れた」コードとなったとしても、それはソフトウェアを構成する要素の本の一部に過ぎないわけです。

その残りの部分は、その時まだまだ活力あふれる20代、30代の開発者達が最新の技法を駆使して記述しているのです。

もはや「枯れた」コードは、ソースコード全体の中に断片的にしか残っていないでしょう。

そのようなコードの断片を拾い集めて売り物にしようと考える企業がいるとは思えないのですよね。


というわけで、結論としては

「著作権が切れたらGPLも実質意味を為さなくなるけど、そのことを利用して商売しようという人は多分いない」

ということですね。


……まあ私も所詮素人なので、詳しい人のツッコミは随時受けつけてます。

*1:無印のTeXは……Knuth先生一人だけで書いてると聞くし、djbのqmailとかも……うーん、実は探せば結構あるのかもしれない