技術によって道徳的・倫理的問題を解決するという視点
技術の進歩で、倫理の問題を解決する。
iPS細胞研究の展望と課題(2) - pho's blog
最近すごく気に入っている言葉です。
引用元の記事ではiPS細胞に関する講演についてレポートしています。
ES細胞は再生医療の分野で大活躍するだろうと期待されていたものの、受精卵を使うために倫理的にどうなのよ、という議論がなされてきました。
そんな中、通常の細胞から作成できるiPS細胞が登場し、先の倫理的問題を解決する(というより、その問題が意味をなさなくなる)可能性が高まってきたのです。
このことについて、id:phoは引用部分のように記述したわけです。
この考え、別にiPS細胞に限らず、様々な分野で応用できるのではないかと思っています。
世の中には人の精神による抑制がなくなると、簡単に犯してしまう犯罪があります。
例えば、昨今話題になっている著作権法違反ですね。
自分で録画したテレビ番組を、例えばyoutubeやニコニコ動画等にアップロードすれば、簡単に罪を犯すことができます。
ファイル共有ソフトを使って商用ソフトを不正に入手することも、少し調べればきっとできるのでしょう。
あるいは道路交通法違反、とりわけスピード違反です。
アクセルを普段よりちょっと強く踏むだけで、違反者の仲間入りです。
こういった問題は人の道徳観や倫理観、あるいは単なる損得勘定によってしか抑制する手段がないので、だから啓蒙活動を行い、罰則を設けることでこういった罪を犯させないようにしているわけです。
しかし、これらの問題を技術で解決できないでしょうか?
例えば著作権法違反などを解決する方法の一つとして、オープンソースの考えがあります。
……まあこれを技術というとちょっと違う気もするし、非常に限定的な解決策ではありますが、とにもかくにもオープンソースライセンスやクリエイティブコモンズの適用によって、違法コピーという犯罪と、それによる不利益はなくなるでしょう。
オープンソース関連企業の場合、サポートやコンサルティング等によって利益を得るビジネスモデルであれば、違法コピー等の問題など誰も気にすることはないでしょう。
こういった形の解の何がいいかというと、
「誰も我慢する必要がない」
ということですよね。
別に皆何かしたいという気持ちを抑制することもなく、自分達のやりたいようにやっているわけです。
どこにも行動に対する抑制力は働きません。
ある意味、誰もストレスを抱えない理想郷と言えます。
道交法違反については、現実的な解は私には思いつきませんでしたが、例えば道路を全く使わなくなれば、こういった違反というのはなくなるのではないでしょうか。
すごく現実離れした案ですが、どこでもドアはこういった問題の解決策の一つであると思います(実現性は別にして)。
私が言いたいのは、受精卵を使用した実験の是非に限らず、世の中のありとあらゆる箇所に存在する道徳的・倫理的問題(あるいは欲望とその抑制)を技術の視点で解決しようと試みることは非常に重要なのではないかということです。
やはり私としては、例え世間的に見て「いけない」ことであったとしても、それを抑圧することは精神的には健全じゃないのではと思うのです。
もちろん大半のことは、「どんな理由があろうとやっちゃあかんだろ」ということですので抑圧されて然るべきなのでしょうが、技術によってそういった問題を解決すれば誰も「いけない」ことをやらなくなり、やろうともしなくなるわけです。
一筋縄じゃいかないでしょうが、身の回りの「抑圧」に注目して、それを技術的に解決するにはどうすればいいかということに頭を巡らせるのも楽しそうですよね。
案外、金の卵的アイデアが見つかるかもしれません。