よく「無駄を省いて効率化を」なんていう言葉を聞きます。
googleニュースで検索すれば、無駄という言葉があちこちに含まれているのがわかります。
しかし、無駄って何なのでしょうか?
goo辞書(大辞林 第二版)から引用すると、
しただけの効果や効用のないこと。役に立たないこと。また、そのさま。無益。
とあります。
ですが、これでもよくわかりません。
効果がない、効用がないとはどういうことでしょう? 逆に、どうすれば効果があるのでしょうか?
例えば会社において、営業が接待をたくさんするのは無駄でしょうか?
営業じゃない人からしてみれば無駄に見えるかもしれません。
では逆に、研究者がお金になるんだかならないんだかよくわからない研究に大金を使うのは無駄でしょうか?
営業の人から見れば、自分たちが必死に契約とって稼いだお金を湯水のように使われるのは無駄に見えるかもしれません。
結局、無駄かそうでないかを認識するのはその人の主観でしかありません。
つまり、万人に受け入れられる「無駄の削減」は、どれだけ多くの人が無駄と認識しているかが重要であって、それが本当に無駄かどうかとは関係がありません。そもそも「みにくいアヒルの子の定理」より、人間の主観を超えた世界において無駄と無駄でないものの境目など存在しないのです。
じゃあ無駄を減らすってどういうことなんだろうとうんうん悩んでたら、先輩が「そんなもの簡単だよ。上司が無駄と思ったものが無駄なんだ」と一言教えてくれたのでなるほど確かにと思ったわけです。
上司がコンピュータに疎ければ、システムにお金をかけることなんて無駄にしか見えないでしょうし、上司が休暇をとることを無駄と思うのならバカンスなんて夢のまた夢となるでしょう。
より抽象化した言い方をすれば、
「ある事象が無駄であるかどうかは、ある組織における意思決定者の主観に委ねられる」
となるわけです。
うーん、実に夢も希望もない結論です。