第15回The Economist読む隊感想


http://ecotai.g.hatena.ne.jp/keyword/%5B%E7%AC%AC15%E5%9B%9E%5D
基本情報は上記参照。

Face value(Adnan Yousif, Union of Arab Banks)

全10パラグラフ。

P1

イスラム金融業界の人の大半は、自分達のつつましさに誇りを持っているのだが、Union of Arab Banks会長アドナン・ユーシフ(Adnan Yousif)はまるでウォールストリートの住人のように、グローバルを視野に入れたイスラム銀行の創設を計画立てた。

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イスラムの法律シャリア法では、利子を得ることができない。だから70年代にオイルマネーでぼろもうけしても、そのとき生じた利子を全て西側の銀行にボーイにチップ払うノリでくれてやっていた。そのくせイスラエルを支援するアメリカに対し石油の禁輸措置をとったりするので、American Expressのバーレーン支社に勤めていた若き銀行員のユーシフ氏は「やってること矛盾してるだろ常識的に考えて……」と言ったとか言わないとか。

全然内容と関係ないけど、ユーシフ氏の写真って恰幅がいいことを除けばスーツ着てるやらない夫になんとなく似てる。

P3

禁輸措置はやめたけど、さすがにイスラムの人達は「なんとかシャリア法にひっかからないで利子稼ぐ方法ないの?」って探し始めた。ユーシフ氏は80年代にArab Banking Corporationに移ってイスラム金融部門を立ち上げた。そこで利子を稼ぐんじゃなくて売上げを出すように頑張ったけど、当時の社長はニッチ商売だろ、これじゃ西洋型金融に対抗できないだろ、ぐらいにしか思ってなかった。

P4

ところがどっこい、イスラム金融業界はその後20年で予想以上に発展した。ユーシフ氏は業界のリーダー的存在となり、2002年にBahrain Islamic BankのCEO、2004年にAl Baraka Groupのトップとなって現在に至る。とはいえ、まだまだ西洋式の金融業会には遠く及ばない。

P5

シャリア法があるとはいえ、陰ではイスラムの銀行家も「イスラム版ゴールドマン・サックスあればいいんだけどなー」とか思ってる。それこそユーシフ氏が実現しようとしてる銀行で、名をIstikhlaf、「神に与えられた仕事を行う」という意味の会社だ。業界人はこの会社の重要性を認識して、早く規模が大きくなってほしいと思っている。

P6

去年立ち上げたこの会社、本当は1000億ドル集める話もあったが、不況やらなんやらでその話はお流れに。それでも既に35億ドル集めていて、年末までに同じくらい集めるらしい。

P7

いくら10億ドル集めたって、どこにでもあるようなインフラにするにはまだまだ金が足りない。他のイスラム銀行は規模が小さすぎて空気。ドイチェ銀行、HSBC、Citigroupなんかが競合だ。

P8

ユーシフ氏の野望はそこにとどまらない。ベンチャーキャピタルチームを作って、シリコンバレー的な何かを作ろうと考えている。潜在的投資家達は「( ´_ゝ`)フーン」って感じ。

P9

また、イスラム世界って一口に言っても世界のあちこちで宗派も違えばシャリア法の解釈も違うのも問題。あっちでOKだった銀行がこっちじゃダメ、なんてこともある。だから巨大なイスラム銀行というのは脆弱になる。
さらに人材もいないので、多国籍企業から人引っ張ってくるしかないのが現状。

P10

サウジの後ろ盾がないのもいけてない。……が、サウジを超える可能性があるとしたらユーシフ氏なんだろう。ユーシフ氏はユダヤ系のグリーンスパンが大好きらしくて、自伝を3、4回読んだらしい。彼が運よければ、グリーンスパン氏が言ってた「荒稼ぎヤバイ」って言葉を思い出すかもね。

感想

  • シャリア法厳しい。
  • この人イスラムのご年配の方々には相当嫌われてんじゃないかなあ。
  • 一見ぜんぜん神様信じてなさそうだが、理想主義、精神主義を捨てて現実をとってでもなんとか法律守りつつ富を稼ごうという姿勢は逆に信心深いのかもしれない。保守的でないことは確かだが。

Politics this week

  • 写真の女の子ちょっとかわいい
  • カナダ、5年で3回も総選挙してるらしい。ああいうのって日本だけじゃないのね。
  • ペルー、地元民30人ぐらい殺す。

ボリビア大統領エヴォ・モラレス「お前らのやってることは自由貿易の名のもとの虐殺だ!」って非難する
→ペルー外相「あいつはペルーの敵だ」
どろどろしてますねー