転職してから4年が経ちました

といっても4月1日の話なのでもう一ヶ月以上も前になるのですが、色々と忙しくて後回しにしてました。
ブログで転職報告してから4年の間、どういう仕事をしてきたのか書いてないことに気づいたので、せっかくなのでちょっとまとめてみようと思います。

1年目(2011年)

「朝、ベッドから起きると、そこが職場になっていた」

この感覚は今でも忘れません。オフィスも同僚もいなかった私は、在宅勤務という形で Cloudera での仕事を始めました。1Kの小さいマンションに住んでいたため他の作業部屋がなく、自分のベッドの横の机がそのまま仕事場になりました。

サポートエンジニア(今は COE = カスタマー・オペレーション・エンジニアという名前になっている)として今の会社での仕事を始めたのですが、肩書き通りの仕事だけをしていればいいなんていうことは当然あるわけもなく、日本にいる唯一のエンジニアとして何でも仕事をこなさなければなりませんでした。 (営業などは別にいました)

私が日本で最初に行った仕事らしい仕事は、Hadoopのトレーニングの講師の補助でした。当時はまだ日本のインストラクターがいなかったため英語で開催していたのですが、通訳などのコミュニケーション補助を行いました。


前職 NEC とは全く異なる文化で、本当に驚くことばかりでした。一番衝撃だったのはクビを切ることに対する文化です。

初めての出張で US のオフィスに行き、オフィスのトイレであるエンジニアと会話しました。

「よう、お前日本から来たんだってな。お前の斜め後ろの席あたりに座ってるから、なんかあったらいつでもいってくれよな!」

この会社に入ってから感じのいい人ばかりに巡りあっていて、この人もまた愛想のいい人だったので、やっぱりこの会社に入ってよかったなとそのときは思いました。

一時間後、一通のメールが全社員宛に届きました。

「◯◯はもうこの会社にはいない。本人のプライバシーを守るため、本件については一切口外しないように」

青ざめました。あまりに怖くて、彼が座っていたデスクの方を振り向くことさえできませんでした。どんなにみんなフレンドリーでも、ここはアメリカの会社なんだと再認識しました。
今ではすっかり名作アニメとなってしまった、当時放映されたばかりの「魔法少女まどか☆マギカ」の巴マミの末路を思い出し、いきなり目の前から人が消えるってこういうことなんだなと感じました。


それから数日後、別の社員がメールを送ってきました。

「新人研修を担当している××だ。アメリカにいるうちに研修やるから、来週の月曜時間空けといてくれよ」

彼は月曜に出社しませんでした。メールボックスには「××はもうこの会社にいない」という全社宛のメール。最初の一件のインパクトが強すぎたのか、2回目は最初ほどショックを受けませんでした。結局この研修を受けることはありませんでした。

衝撃的だったのはその週の金曜夜でした。会社の飲み会があって参加したのですが、普通にクビを切られた彼も参加していたのです。
「だからオレ達の会社がさ、おっと失礼、君たちの会社がさ、」なんてジョークを飛ばして笑い合ってたのです。日本における「クビ切り」とは全く感覚が違うのだとそのとき理解しました。

一応後から学んだ知識で補足すると、この彼は多分どちらかというと例外に属し、実際にはクビを切られるというのは多くの人にとってあまり気分のいいものではないのは間違いないはずです。ただ、クビを切られる=人生の終わり、みたいに捉える人はまずおらず、誰にでも起こりうることという捉え方はされています。

2年目(2012年)

年の始めにようやく小さなオフィスを構えることができました。といっても用意されたのはオフィススペースだけで、家具は自分達でそろえなければなりませんでした。その当時のメモがこちらに残っています。

日本でも少しづつ知名度が上がり始め、顧客もパートナーも増えてきたため、次の社員を雇う必要がでてきました。

英語もしゃべれて技術力もあり、しかもこんな小さい会社に来てくれる人となると探すのが非常に困難です。

そこで友人の @ に声をかけることにしました。こんな簡単にクビを切られるような会社に友人を誘うというのは本当に勇気がいるものです。彼にはこの会社に勤めるリスクやデメリットなど、知りうることを全て説明しましたが、それでも彼は来ることを選択してくれました。

今では日本はもちろん Cloudera のグローバルでもトップクラスの COE として活躍しています。正直ここまで活躍してくれるとは想像もしませんでしたが、本当にいいエンジニアを誘えたと思っています。

3年目(2013年)

@ が一人前の COE としてサポート業務の活動を回せるようになる一方で、私はサポート以外の業務がどんどん増えていきました。そこで、当時社内でもかなり特殊な仕事だったプロアクティブサポートエンジニアという職種にロールチェンジすることを選択しました。

このプロアクティブサポートエンジニアは、サポートチームに属してはいるものの顧客対応がメインの仕事となるため、当時の自分の業務内容にピッタリな仕事でした。
後にプロアクティブサポートの仕事のうちの顧客対応の部分はセールスエンジニア側に継承されていき、ロール自体はよりサポート特化となっていきますが、これが後の私の2回目のロールチェンジにつながっていきます。
この当時はサポートを実際に購入した顧客向けの、ある意味「ポストセールスSE」としての活動がメインでした。

また、この年から APAC として組織的な強化をし始め、同じタイムゾーンの同僚が急激に増えていきました。
今まではほとんどの同僚がアメリカやヨーロッパに住んでいたために時差を気にして仕事をすることが多かったですが、同じ業務時間中に連携できるというのは非常に心強いことでした。

4年目(2014年)

長らく日本の面倒を見てくれていたコンサルの方が外れ、新しい日本のトップがチームに加わりました。この人は日本語を全くしゃべれなかったため、オフィスの言語は英語になりました。

この年に私は2回目のロールチェンジを行い、セールスエンジニアとなりました。といってもサポートチームの仕事もある程度引き続き行っていて、結局のところ二足のわらじを履いていたのが非公式から公式になったようなものでした。

このセールスエンジニアという仕事はサポートとはまた違う方向で面白い仕事です。
サポートを行っているとどうしても異常系に偏って技術力が伸びる傾向になり、どこをどうすれば壊れるか、という知識は多くなります。
一方セールスエンジニアは、どこをどう使えばやりたいことを実現できるか、という正常系の知識が多く要求されます。

セールスエンジニアは顧客が購入にいたるまでの技術的な責任を持つというのが仕事で、自社の製品をどう使えばどのようなことができるのかということをきちんと理解し、場合によっては独自に調査する必要があります。
当然自分だけの知識では対処しきれないため、グローバルの人達の力を借りることになります。各技術の最先端のエンジニアと様々な議論をしながら顧客のニーズを実現するための方法を模索していくというのは非常に楽しい仕事です。

そして5年目(2015年)

日本ではもちろんのこと、もうすっかり社内でも古株になってしまいました。
入社当時に比べて社員の規模は10倍以上になりましたし(正確な数字は秘密)、日本もどんどん人が増えていっています(こちらも正確な人数は秘密)。先日はオフィスも新しい場所に移り、大分広くなりました。

さすがに会社に在籍中の身なので書けないこともたくさんありますが、上に書かれていないところで大変なことがたくさんありました。順風満帆とはほど遠い道のりをたどっていますし、何度も「もうおしまいだ」と思ったものです。
そもそも明日どうなるかも分からない世界です。こんな記事を書いてて翌日にクビになっててもおかしくありません。

面倒なことだってたくさんあります。やりたくない仕事もあります。それでも会社を辞めないのは、やりたいことがたくさんあるからですね。

Hadoop を日本で広める手伝いをしようと思って今の会社に転職して4年経ちましたが、それでもまだまだ普及にはほど遠い状況です。
既に US では昔の Hadoop から脱却して汎用の大規模分散処理・大規模分析処理の基盤としての地位を確立しつつあるのに、日本では昔の Hadoop すら理解していない人が多い状況です。

昔も今もたびたび Hadoop 不要論が唱えられたりしていますが、実際に顧客の話を聞いてみると、明らかに Hadoop を使った方がやりたいことを実現できるというケースはたくさんあります。
そうした人達にこの技術の価値をもっと伝えていければと思っています。

また、この会社には一流の技術者がたくさんいます。それも、世界でトップクラスの技術者です。技術者だけじゃなく、ビジネス側にも優秀な人達がたくさんいます。こうした人達と一緒に仕事できるというのは本当に楽しいです。

社員だけでなく顧客も優秀です。海外はもちろん日本でもかなり先進的な取り組みをしているお客様がたくさんいます。こうした人達と一緒に仕事できるのも魅力ですね。

……と、こんな感じでこの会社のいい部分というのをたくさん挙げることができるうちは他の会社に行かなくてもいいかなと思ってます。

そんな私と一緒に東京でセールスエンジニアとして働きたい!と思った方はこちらからご応募ください。

質疑応答

最近 ask.fm 始めましたので質問があればこちらに。

http://ask.fm/shiumachi

有用そうな内容はこちらの記事にも転載します。
質問は公開されます。どうしても個人的に質問したいのであれば、別の方法でご質問ください。

いくつかの想定質問と回答を先に書いておきました。

ぶっちゃけいくらもらってるの?

よく聞かれるんですがそんな言うほどもらってないです。同じ業界のエンジニアと話してたら「そんな安いの?」って驚かれたレベル。それでも前職よりはもらってます。
生活できるので別に困ってないし不満にも思ってないです。

セールスエンジニアってどんな仕事してるの?どうせ単なる営業だから技術のことやらないんでしょ?

「営業活動に関わる技術全般」です。デモ環境作ったり技術説明のプレゼンをしたりというのが定番ですが、ぶっちゃけ何やってもいいです。
Cloudera だと ASF で開発やっててコミッターになったりとか本書いたりとか色々います。個人的には会社のエンジニアの中で一番フリーダムな仕事と思ってます。

英語どこで学んだんですか?

普通に大学受験の勉強ですね。面接は当然英語なのでそこでもまた事前に特訓しましたが、今の英語力はほとんど入社してから身につけました。

英語の勉強法については私が4年前に書いたこちらの記事をご覧ください。

(追記) 「お前帰国子女だろ!」ってツッコミがあちこちから入りましたが、ぶっちゃけ小学校低学年の語学力なんて大したことないので今の英語力にほとんど影響ないと思いますよ……。

もらった質問に対する回答

ask.fm を埋め込む方法がわからなかったのでツイートで代用してます。