背景アイコンと高分子

今扱っている分子を無限回のくり返し構造にして分子動力学シミュレーション(MD)にかけようとしていたのですが、そのためにはくり返し構造単位(ユニットセル)を決める必要があります。

ある分子が無限にくり返す形の高分子なら、1ユニットはその分子に決まっているじゃないかと思うかもしれませんが、そう単純にはいきません。


今扱っている分子は六角形状の構造をしていて、それをハニカムにしようと思っていたのですが、その分子をユニットにしてしまったら単に六角形の分子が並んでいるだけの分子性結晶となり、ハニカムにはなりません。

そこで思い出したのが背景画像を作るときのアイコンの作り方。

あれは同じような図形が繰り返し描かれているように見えても、背景の構成単位はその図形そのものじゃなく、図形を分解したものを構成単位にしますよね。
(例示用の画像がないのが残念です)

それと同じ発想で高分子を作成してみました。

六角形は、3辺(つまり半分)を構成単位にすれば2つの並進ベクトルに対して繰り返し構造を作成するだけでハニカムを作ることができるんです。
コンピュータの画像*1と違い斜方セルを使用できますので、これでもハニカムを作れます。

いらん知識でも役に立つということがあらためて実感できますね。

私の先生は、「ハニカムだから2頂点(つまり1辺)さえ決まれば作れるだろう」と言っていたのですが、それはグラファイトの話で、私の扱っている分子では3辺ないと無理なんですということを説得して納得していただきました。

グラファイトはC2つのくり返しでハニカムを作れるんです。

興味があったらちょっと考えて見て下さい。

*1:直交方向でのくり返ししかできない