思考のプロセス
私は何かを考えるときに、その「もの」の定義・存在意義から
思考をスタートするやり方を好みます。
一例として、今日の勉強会で、
「本の編集者の仕事とは何か?」(問1)
と問われたときの思考プロセスをトレースしていきましょう。
まずその前段階として、いわゆる出版社の出す本と同人誌の違いについて
説明されました。
つまり、第三者=出版社が介入するかしないかということですね。
そこで問1に戻ります。
ここで最初に考えたのが、
「編集者は何のために存在するのか?」(問2)
ということです。編集者の存在意義とも、存在定義とも言えますね。
これを考えるために更に考えたのが、
「誰が編集者を生み出したのか?」(問3)
ここまでくるとほぼ自明です。つまり出版社ですね。
これにより問2をこう言い換えることができます。
「出版社は何のために編集者を作り出したのか?」(問4)
次に、今度は出版社の定義について考えることにします。
まあそれなりの規模の出版社であれば普通株式会社でしょう。
「ここでは出版社は株式会社と仮定する」(仮定1)
この仮定を用いて、問4を変換すると、
「株式会社である出版社は何のために編集者を作り出したのか?」(問4’)
となるわけですが、ここで出版社や株式会社といった抽象的存在が実際に意志を持って編集者を作り出すことはないわけです。つまり人の存在が必ずどこかにいるわけですね。
ここから先は面倒なので省きますが、つまり会社を動かしているのは経営陣であり、経営陣は株主の利益を最大化するための活動を行うという話に持って行きます。(前提1)
前提1より、問4’をさらに変形すると、
「経営陣は株主の利益を最大化するにあたりなぜ編集者を作り出したのか?」(問5)
となります。
そろそろ答を一回出してみましょう。問5の答の一つは誰でも簡単に出せます。
「答:それが株主の利益を最大化するから」(答1)
首を傾げるかもしれませんがこれも立派な答です。
ここで株主の利益を最大化する方法として売上を伸ばすことと仮定すると(仮定2)、
「答:それが売上げを伸ばすから」(答2)
とできます。
ここまでくれば問1の答も書けるでしょう。
本の編集者の仕事は、
「売上げを伸ばすこと」(答3)
となるわけです。
……とまあ、簡単に私の思考プロセスを紹介してみました。
私が何か考えるときは、大体はこういったプロセスを経て答えを出しています。
もちろん仮定に仮定で埋め尽くしてプロセスを大分はしょる場合もありますが(むしろそっちのが多いかも)^^;
こういうプロセスで考えないと、最初の前提が間違ってたために*1後の議論が全部筋違いになる可能性があります。
やっぱりそうした失敗は避けたいですよね。
*1:とくに問題についてある種の思い込みをしているとそうなりやすい