2年半以上も前にほぼ同様の記事を書いたのですが、以下の2つの記事を読んだら再度掲載したくなりました。
http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52373634.html
http://anond.hatelabo.jp/20100917191635
2008年の初め、The Linux Foundation はオープンソース界の著名人へのインタビューを収録したポッドキャストを配信する企画を始めました。
企画自体は半年ほどで打ち切りになったようですが、その第一回を飾るのが Linux 作者 Linus Torvalds でした。前後編合わせて1時間半にも及ぶロングインタビューです。
かつて私はこの内容に感動し、1年かけて翻訳を行いました。その訳文は JF Project の一部として収録されています。これがオープンソースコミュニティにおける、私の最初のアウトプットでした。
Linuxカーネル開発の体制の話からソフトウェア特許の話など、幅広いテーマでインタビューが進むのですが、その一番最後の質問に「Linux開発に加わるにはどうすればいいですか?」というものがあります。
元の訳があまりにひどかったので、以下再度訳し直したものを原文とともに掲載します。
Jim Zemlin: Any final advice for an organization or an individual that wants to get involved in working on the Linux front?
Page not found | The Linux Foundation
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Linus Torvalds: I get the question of “Where should I start?” fairly often and my advice is just don’t even ask that question. It’s more like if you’re not interested enough in one particular area that you already know what you want to try to do, don’t do it. Just let it go and then when you hit something where you say, “I could do this better” and you actually feel motivated enough that you go from saying that to doing that, you will have answered that question yourself.
Jim Zemlin: 最後に、Linux 開発の前線に加わりたいと思っている組織や個人に向けたアドバイスをお願いします。
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Linus Torvalds: 僕もよく「何から始めたらいい?」って質問を受けるけど、僕はただ「もうそんな質問はするな」って答えてる。十分にその分野について知識があって、自分が挑戦してみたいことがわかっているぐらいその分野に興味を持っていないんだったら始めちゃダメだ。その分野はさっさとあきらめるんだ。「これなら自分の方がもっとうまくやれる」と言えるものに出会い、そして「うまくやれる」と言うだけじゃなく「うまくやる」ために現実に活動を始めるぐらいモチベーションが上がったら、そのとき答えは見つかってるよ。
以前私は "don't even ask that question" というのを「二度とそんな質問するな」と訳していましたが、今回「もうそんな質問するな」と訳し直しました。Linus は基本的に口が悪いので、私は当初この発言が叱りつけるようなニュアンスを持っていると解釈していました。しかし今読み返すと、これはもっと冷静なアドバイスとして言っているんだなということがわかりました。彼が言いたかったのは、そんなことを聞いて回るよりさっさと始めた方がいいよ、というただそれだけだったのです。
Linus の主張は首尾一貫しています。彼は口先だけの言葉を一切信用しません。彼が見るのはコードだけ、行動だけなのです。
私もエンジニアの肩書きをもらってから4年は経とうとしていますが、技術に対する自分の意識を変えたのは間違いなくこの一言でした。それ以来、自分の後輩などに向けるアドバイスも「とりあえずやってみろ」とだけ言うようにしてきました。もちろん、どういう選択肢があるかぐらいは紹介しますけど。
自分も最近忘れかけていたため、自戒のために書いてみました。