翻訳するときに原著者に直接許可もらうようにしてる

http://d.hatena.ne.jp/pollyanna/20090220/p1

 今回の村上春樹氏のケース以外でも、海外のニュース記事やブログ記事などを、気軽に全文引用・翻訳して、自分のブログで紹介しているケースをしばしばみかけます。

あの翻訳祭りは「同じ文章をよってたかって訳すのも面白いけど、みんなその勢いでもっと他の翻訳もやってくれたらいいのになー」とか勝手な願望抱いてるばかりで、翻訳許可とかそういう話まで頭が回ってませんでしたね。

ていうか普通みんな翻訳したら許可とるよね? とか勝手に思ってました。


ニュース記事の全文翻訳は完全アウトですね*1。よほど悪質でない限り(訳したテキストで堂々と商売してるとか)、訴えられることはまずないとは思いますが。


Linusのインタビューの翻訳をしたときも、Googleの面接の翻訳をしたときも、私はちゃんと原著者に許可とりました。
後者はともかく前者は著作権者が法人なのでさすがに自分一人ではどうにもならず、人の手を借りましたがそれでも一応許可はとりました。(Linusに許可とったわけじゃない)

これでもオープンソースでメシを食わせていただいている身、ライセンスの問題には日々接しているわけで(今日もGPLv3の条項読んだりしてた)、そんな私がたとえプライベートであっても堂々とライセンス違反するのはあまりに格好が悪い。
そんなわけで、著作権や翻訳権に関してもある程度気にはします。

でも所詮「ある程度」なので、
「考えるの面倒だ。直接原著者に許可取れば文句ないだろ」
という結論に至ったわけです。


……そういう一面もありますが、実際には原著者への感謝の気持ちの方が強いです。
面白かったからこそ、ありがとうの言葉の代わりに翻訳するわけです。
ものを書いたり情報発信する人は異国の人に自分の創作物を知ってもらうことに概ね好意的と聞きます。少なくとも私だったら「面白かったから翻訳させてくれ」と言われたらすごく喜ぶと思います。残念ながらそんな経験はしたことないですけど。
原著者に少しでも喜んでほしい、というのが直接連絡を取る第二の理由です。


さらにもう一つ「直接やりとりすること」の効果があります。
Google面接の翻訳のときの事例を紹介します。


実際にメールを送って(恥ずかしいぐらい下手くそな英語ですが)、その結果どうなったか。
Googleの面接の記事の原著者は快諾してくれて、リンクまで貼ってくれました。公開後、予想外の反響に驚いて「(アクセス解析みたら)なんか日本から大量に人きてるよ!」と興奮していたので、はてブのコメントを英訳して「これがあんたの記事読んだ日本人の感想だ!」と送りつけたらまたも大喜び。
「実はもう一つ面白いネタがあるんだ。いずれ書くと思うからそのときはまた翻訳してよ」と次のネタを教えてもらったので、「面白そうだね。きっとみんな喜ぶと思うからいいよ」と返事しました。
まあつまり、ちょっとした縁が出来たわけです。(友達、と言ってしまうとなんだかなれなれしい気がするのでやめておく)普通だったら一生口聞くこともないだろう一人のラトビア人と日本人とが、翻訳というものを通じて知り合ったわけです。
自分の中ではこれが一番大きいかなと思います。普通じゃお金積んだって買えない「世界中の人との縁」が、下手すればメール1本で手に入るのです。こんなに安い買い物はないですよ。


といっても所詮私は翻訳の世界においてもぺーぺーの身ですから「みんなちゃんと連絡とれよ」なんて偉そうなことを言うつもりは毛頭ありません。
ただ私が言えるのは、「ちゃんと原著者に許可とるのは色々とメリットが多いし何より気分がいいので私はこれからもきっと連絡取り続ける」ということだけです。



蛇足:許可もらうときに気をつけてること


……というほど大したことでもないかもしれませんが、私は基本的に訳し終えてから翻訳文と一緒に許可依頼のメールを送るようにしてます。
「訳させてー」って言っておいて後でモチベーション下がって「やっぱやめるー」なんて言ったら色々な人に迷惑ですからね。
飽きっぽい自分が他人に迷惑をかけないための、一つの自己防衛策です。

*1:法的に「アウト」と言っているではなく、私の心情的に「アウト」の意。だって私法律なんて大して知らないし