違う視点

この2週間弱、代休消化のためずっと会社行ってませんでした。

何してたかといいますと、旅行したり誰かと飲んだり Japan Linux Symposium に参加したり、本を読んだり、ごろごろしたり……とまあ、それなりに休暇を満喫することができました。


休暇中、とあるWeb系ベンチャーに勤めている2人とお酒を飲んだときの話です。

彼らは元々アナログ写真業界のある企業に勤めていたのですが、知っての通りアナログ写真業界はこの10年ですっかり廃れてしまいました。彼らの勤めていた企業ももうないそうです。

その彼らが、Web業界に転職したときに感じたことを少し話してくれました。


「写真業界にいた頃は『写真屋は生活に必要なものだ』と思っていたけど、いざ業界を移ってみると、全く生活に必要ないんだということがよくわかった。実際自分自身だって、転職してから一度も写真屋を使ったことがない」


この話は、業界・組織・社会を問わず通用する話です。

顧客にアピールするために作ったはずの宣伝文句や説得材料が、いつの間にか自分達の価値観そのものに影響を及ぼしてしまい、結果心の底からその概念を信じ込んでしまうというのは、誰もが陥りやすい危険な罠です。

そして彼らは、今の自分達の属するWeb業界についてこう語りました。


「Webの人達の多くは、まるで世界中の人が毎日毎日インターネットを見ているかのようにものごとを考える。でも実際はそうじゃない。自分達の見ているものが、あるいは自分達のいる世界がすごく狭いということに気づいていない」

「別の業界からWebに来た人は優秀な人が多い。違う視点でものを見るからね」


これこそ、私がこの長い休暇の中で再確認したかったことです。

私はこの2週間、なるべく自分のいる世界と違う人達と喋るよう意識しました。


居酒屋の大将や給仕のお姉さん、村の茶店のお婆さん、父を亡くし20代で店を継いだ寿司屋のお姉さん、大企業で研究開発やってる大学の先輩、定年退職して日本旅行に来たスイスからの老夫婦、id:pho に連れていかれた謎の飲み会で出会った面白い人たち、Webベンチャーの二人、JLSで出会ったオープンソースコミュニティの人々、などなど……。


私が気づいたのは、彼らは色々な角度で置かれている鏡であるということです。

何かを見るとき、自分の目からは一面しか見えないけれど、彼らの目を通してみれば側面や上面、裏側を見ることができます。

そしてその鏡は、自分より遠ければ遠いほど、新しい視点を与えてくれます。

私はこの2週間で、本当に多くの素晴らしい「鏡」に出会うことができました。その結果、「斬新な発想は異なる視点から生まれる」ということを再確認できました。試みは大成功です。


世の中にはまだまだ面白いことがあります。でもそれは自分の庭ではなかなか見つかりません。

探すなら、お外におでかけして探さないといけませんね。

明日から仕事に復帰しますが、今までとは違う新しい気持ちで仕事ができそうです。